逗子・鎌倉・葉山の空き家(古屋)活用・エコリフォームなら「ライフプラス」

空き家対策事業BLOG

強化される「空き家対策措置」は、空き家を放置するオーナーを直撃します

2023年4月13日 空き家対策事業

「管理不全空き家」の新設

空家等の活用拡大、管理の確保、特定空家等の除却等に総合的に取り組むための「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が、令和5年3月3日、閣議決定されました。(「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を 閣議決定より)

これまで、実行性の面で疑問視されていた「空家対策特別措置法」ですが、いよいよ本気でその対策に取り組むことになりそうです。

これまでの「空き家対策特別措置法」

2015年に施行された「空き家対策特別措置法」では、そのまま放置すると倒壊する危険性があるなど特に危険性が高い物件が「特定空き家」に指定され、撤去などの措置を講じる事が出来るようになっていました。
しかし、全国におよそ350万戸あるとされる空き家のうち、昨年度までに特定空き家に指定されたのは約4万戸、さらに撤去などの措置が実施されたのは482戸です。

何故、これほどまでに実効性が低かったのでしょうか。現行法の特定空家ガイドライン(国土交通省)では、特定空家等に対する措置の実施を図るためには以下のような規定があります。

 

1. そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れがある状態
2. そのまま放置すれば著しく衛生上有害となる恐れのある状態
3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

上の条件に当てはまっていても、市区町村が特定空き家の指定を行うためには、助言又は指導➡勧告➡命令へと順に手続きする必要があります。

固定資産税などのに関する措置として、住宅用地特例の対象から外すことにより所有者に負担を強いることは可能ですが(下図を参照)、かならずしも多いとはいえない市町村の担当者の負担が大きいこともあり、実用性に乏しいと言われていました。

 

小規模住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以下の部分)の例
固定資産税:価格×1/6、都市計画税:価格×1/3

 

また、行政代執行を行うとなればその費用は、いったんは各市区町村が負担しなければなりません。解体費用は、所有者に請求されますが所有者不明の場合や支払いの余裕が無い場合もあります。つまり、改修不能な出費を負担せざるを得ない可能性があるのです。一口に解体と言ってもその費用は高騰しており、たとえば30坪の一軒家を解体する場合にかかる費用は、木造住宅なら90~150万円、鉄骨造なら150~210万円、RC造であれば180~240万円程度が相場となっています。

行政の立場から見れば、個人の財産である家屋を強制的に解体するのですから、その決定はかなりハードルが高いという理由もありました。

「管理不全空き家」の指定

上記の背景により、空家と特定空家いう2段階の間に、行政の負担が少なく空家を放置するオーナーにペナルティーを与えられる「措置」が必要とされています。

その「措置」が今回の「管理不全空き家」という新たな段階の設定になるのです。
空き家➡管理不全空き家➡特定空き家の3段階です。

現在までに公開されている要件としては、敷地内に雑草が生い茂っていたり、窓が割れたまま放置されていたりなど空家の管理状況が悪い状態であれば管理不全空家として指定できることが想定されています。管理が行き届いていない状態であれば、指定される可能性は高くなると思われます。

「管理不全空家」が法制化されれば、雑草が伸び放題で近隣に迷惑をかけているような場合は、固定資産税の居住用財産特定から除外され、空き家オーナーの負担は一気に増加します。

まとめ

国土交通省は、管理不十分な空き家を「管理不全空き家」に指定する新たな制度を導入する方針を固めました。
「管理不全空き家」は、放置すれば「特定空き家」になるおそれがある場合に指定され、窓が割れていたり雑草が生い茂ったりしている物件を想定しています。

より実効性の高い対策措置を講じることになり、空き家を放置するオーナーへの規制は今後ますます強化せれる方向にあることは間違いありません。

お問合せは、こちらからお気軽に。

ご参考

国土交通省:関連資料